商標登録出願の流れ
■用語の説明
*1)登録異議申立:商標登録された後に、他人が特許庁に対してその商標登録の取り消しを申し立てること(商標法第43条の2)。何人も申し立て可能。申し立て期間は、公報発行から2ヶ月以内に限られる。
*2)無効審判請求:商標登録された後に、商標権者以外の利害関係人が特許庁に対して登録無効を求めること(商標法第46条)。無効審判を請求された商標権者は、答弁書を提出し、(商標法第56条で準用する特許法第134条)、必要により商標権を指定商品又は指定役務ごとに分割するなどして(商標法第24条)、商標権を維持するために対抗することができる。
大切なこと
- 無料で先行調査可能!
出願前に特許情報プラットホームを利用して先行商標を調査することができます。
- 商標登録の要件
(1)自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標であることを要します(商標法第3条第1項柱書き)。文字、図形、記号などの商標に限らず、色彩や音の商標であってもかまいません。現在は未使用でも使用する予定がある商標は出願可能です。
(2)自他商品又は役務の識別力を有する商標であることを要します(商標法第3条第1項各号)。例えば以下のものは、識別力が無いとして拒絶されます。
①商品・役務の普通名称を普通の方法で表示する商標
②「正露丸」(薬品)などの慣用商標
③商品・役務の産地、販売地、提供地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格などを普通の方法で表示する商標
④ありふれた氏又は名称を普通の方法で表示する商標
⑤簡単でありふれた標章のみからなる商標
(3)上記③~⑤に該当する商標であっても、使用の結果、識別力を有するに至った商標については商標登録を受けることができます(商標法第3条第2項)
- 商標登録を受けることができない商標
上記の「商標登録の要件」を充足する商標であっても、下記に該当する商標については登録を受けることができません(商標法第4条第1項各号)。
①国旗等、②条約同盟国の紋章等、③国際連合等の標章、④赤十字等、⑤政府の監督用印章等、⑥公益事業等に用いられている著名な標章(YMCA、JETRO、NHKなど)、⑦博覧会の賞、⑧これら①~⑦に類似するもの、⑨公序良俗を害するおそれのある商標、⑩他人の肖像、氏名、名称等を含む商標、⑪他人の登録商標や周知商標と同一・類似であるなど他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標、⑫品質誤認を生ずるおそれがある商標、⑬ぶどう酒や蒸留酒について使用が禁止されている原産地名、⑭商品や包装の形状そのもの、⑮他人の周知商標と同一・類似であって、不正の目的で使用するもの。
- 商品・役務の指定は絶対!
出願時には、その商標を使用する商品・役務を商品及び役務の区分に従って指定することが定められています。そして、区分数によって費用が異なります。例えば、第1類/化学品、第37類/建設工事というように指定します。
- 出願の分割が可能!
一定の期間内であれば、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする出願の一部を分割して新たな商標登録出願とすることができます(商標法第10条)。この場合、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなされます。
- 権利は永続!
登録後は10年毎に更新し、永続的に権利を保有することができます(商標法第19条)。
- 権利の取り消しに注意!
不使用期間が3年以上継続すると、他人から不使用による取消審判が請求されて登録が取り消されることがあります。また、使用していたとしても不正な使用をしていると不正使用による取消審判が請求されて登録が取り消されることがあります。
- 権利の消滅後は?
更新しなかったり、登録が取り消されたりした場合、同じ商標について他人に権利が付与されることがあります。