国際特許・国際商標登録に特有の用語を解りやすく説明してます。京都弁理士 矢野特許事務所

国際出願の用語

■趣旨

知的財産に関する用語は、初めて知的財産権を取得しようとする方にとっては、専門的で判りにくいものです。
少しでも理解を深めて頂いて有効な知的財産権を取得して頂くために、知的財産用語の説明をまとめた用語集を作成しました。
このページでは、国際出願の用語の説明を掲載しています。

■用語の項目

PCT

Patent Cooperation Treaty(特許協力条約)の略語です。
PCTは、発明の保護のための出願、並びにその出願に係る先行技術調査及び審査における協力を目的として1970年に採択され、1978年に発効した条約で、日本は発効当初からの加盟国です。

国際出願

PCTに従って管轄の受理官庁になされる出願を言います。
単一の出願で全てのPCT加盟国に対して特許出願したことと同じ効果が与えられます。
但し、出願後の特許権の付与に関しては各国の特許法に従って手続が進められます。

受理官庁

国際出願を受け付ける官庁であり、通常は出願人が居住する又は国籍を有する締約国の特許庁(日本人が出願人なら日本国特許庁)となります。
受理官庁は、国際出願を点検し、国際出願の記録原本及び調査用写しをそれぞれ国際事務局及び国際調査機関に送付するなど条約に従って処理をします。

指定国/指定官庁

指定国とは、国際出願の願書において出願人が発明の保護を求めるために指定した加盟国です。また、その加盟国の官庁は指定官庁と呼ばれます。

国際調査

国際出願の請求の範囲に記載された発明について関連のある先行技術を発見することを目的として、国際調査機関が行う調査のことです。調査の結果、発明の新規性、進歩性及び産業上の利用可能性について調査機関の見解書が作成され、調査報告とともに出願人に送付されます。
出願人は、見解書に対して国際予備審査の請求とともに答弁書及び補正書を提出することができます。提出しなければ、見解書の内容が次項の国際予備審査における報告の内容となります。
国際調査機関は、調査人員及び資料を備えた加盟国の官庁の中から選定されます。日本国の特許庁は国際調査機関の一つで、日本語でされた国際出願について国際調査を行います。

国際予備審査

国際出願の請求の範囲に記載された発明が新規性、進歩性等を有するものかどうかについて、予備的且つ拘束力の無い見解を示すことを目的として国際予備審査機関が行う審査のことです。
国際予備審査の請求は出願人の任意的な手続であり、国際出願は出願人の請求により国際予備審査の対象となります。国際予備審査の結果は報告として出願人に送付されます。
尚、国際予備審査を請求することにより、出願人は請求の範囲だけでなく明細書や図面の補正も行うことができ、国際調査機関の見解書に対して答弁書を提出することもできます。

選択国/選択官庁

国際予備審査の結果を国内段階での実体審査に考慮して欲しい国として、指定国の中から出願人によって選択された国を選択国、その官庁を選択官庁といいます。
但し、2004年1月1日以降は、出願人が選択しなくても全ての指定国を選択したものとみなされています。

国際特許出願

PCTに基づく国際出願日が認められた国際出願であって、指定国に日本を含むものをいいます。
国際特許出願は、その国際出願日にされた我が国の特許出願とみなされます。

国内書面

国際出願を日本へ移行するために日本国の特許庁に提出することが必要とされ、国際出願に係る書誌的事項を記載した書面のことです。
日本語でされた国際出願を受理官庁(日本の特許庁)に提出した場合であっても、日本で権利化するためには、国内書面を提出しなければなりません。提出期限は優先日から2年6ヶ月です。

国内公表

外国語でされた国際出願であって、指定国に日本国を含み、所定期間内に翻訳文が提出されたものについて、その内容を公報に掲載する手続をいいます。

マドプロ

マドリッド協定議定書(Protocol Relating to the Madrid Agreement)の俗称です。
マドリッド協定は、標章の登録出願及び権利維持手続の簡素化を図ることを目的として成立した条約です。
しかし、同協定は、公用語がフランス語のみであること、本国登録の存在が国際出願の要件であること等、種々の課題を有していました。
そこで、マドリッド協定の修正版として議定書が1995年に発効し、1996年4月1日に運用が開始されました。議定書によれば、本国で登録されていなくても出願されていれば足り、言語としてはフランス語だけでなく英語も使用可能です。

国際登録出願

マドリッド協定議定書に従って、日本から外国締約国を指定して行われた商標の国際出願のことです。

国際商標登録出願

マドリッド協定議定書に従って、外国締約国から日本を指定して行われた商標の国際出願のことです。
国際商標登録出願は、国際登録の日にされた我が国の商標登録出願とみなされます。

セントラルアタック

国際登録の日から5年の期間満了前に基礎登録・基礎出願が無効・消滅したときに国際登録も取り消されることを言います。
但し、国際登録を各指定国への国内出願に変更することができます。

事後指定

商標の保護を求める国を、国際登録の後に指定する手続きをいいます。
登録後に新たに取引が生じた(もしくは生じる可能性のある)国や、新たに加盟した国などを追加する場合に行われます。