使うほどに価値が上がるもの

前書き
古くなるほど価値が高くなるものとしては、ご存知のように骨董品があります。使い古されたからというよりも、古道具の場合、現在では生産されていなくて稀少だからということでしょう。また、古美術の場合、同一物が無いうえに作者が既に他界しているということがあります。
それでは、使うほどに価値が上がるものって何があるでしょうか?
商標(サービスマークも含む)です。
商品を販売したり役務を提供したりするとき、商品等に一定の商標を継続して使用すると、使用される商標が需要者に広く知られることとなり、商品・役務の質が一定以上のものであれば、使用者は業務上の信用力を獲得します。この信用がまさにブランドとなり、財産的価値を有するようになるのです。
ただし、商品・役務の質を常に一定以上に保つことと、独占的に使用することとが必要となります。質が低下すれば、その時点で一気に信用が落ちますし、同一類似の商標を互いに無関係の複数の主体が使用すれば出所の混同が生じ、需要者の期待を裏切ることになるからです。前者の手段は、品質管理や社員教育をしっかりすることでしょう。後者の手段は、商標登録する以外に無いと言い切ることができます。
商標登録することで商標権者が独占的に使用し続けることができ(商標法第25条)、紛らわしい他人の商標使用を排除することもでき(商標法第37条)、ブランドとして確立していくのです。

商標登録していない商号に注意!
商号は、法務局で登記すると、同一住所では、同一の商号の更なる登記を阻止することができます(商業登記法第27条)。換言すれば、住所さえ違えれば不正の目的が無い限り他人が同一の商号を登記することができます。

注意しなければならない点は、商号が商品標識として使用され、且つ商標登録の要件を備えているときは、登録商標ともなりうるという事です。法人の場合、ABC株式会社とか有限会社イロハとかのように、「会社」を併記していれば通常は商号的使用と言えるでしょうが、単に「ABC」とか「イロハ」だけを目立った形で使用していると、商標的使用となります。法人でない事業者の場合は尚更です。

つまり、商号登記しているから問題無いだろうと思って商号を使用していたところ、その使用態様が無意識のうちに商標的になってしまい、同一類似の商号を商標登録している他人から「貴社の使用は商標権侵害である。」として警告を受ける場合があるということです。未だ法人化していない個人事業、特にサービス業者の場合にしばしばあることです。。

こういう事態を未然に回避するためにも、商号登記と並行して商標登録することをお勧めします。

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