特許権の維持と費用対効果検討時期

特許権を維持するには
特許出願は特許査定(特許にするという決定)を頂いた後、特許料(1~3年分)を納付することによって登録され、特許権が発生するので、最初の3年分は別として、期間満了まで特許権を維持するには第4年分以後の維持年金、つまり特許料を特許庁に毎年納付する必要があります。

維持費用(印紙代)
しかし、維持年金は3年毎に約3倍となります。具体的には、第4年~第6年は7100円+請求項数×500円、第7年~第9年は21400円+請求項数×1700円となり、第10年以降では61600円+請求項数4800円となります。つまり、請求項数が10にもなると、第10年以降では何と印紙代だけで10万円を超えることになります。
一方、設立後(事業開始後)10年を経過していない中小企業や個人事業者の権利者の場合、維持年金を半額に軽減する措置を適用してもらうことができます(少なくとも平成30年3月まで)。

検討時期
従って、設立後(事業開始後)10年を経過していない中小企業や個人事業者の権利者の場合は勿論、10年を超えて営業している権利者であっても第9年まではあまり迷わず維持してよいのではないかと思います。
そして、第10年以降は続けて維持するかどうかを入念に検討することが望ましいでしょう。ハイテク分野では10年も経過すると技術が陳腐化してしまい、維持する必要がなくなっているかもしれませんし、1年当たり10万円前後納付するとなると、2年分の節約で新たに別の特許出願の費用を捻出することができるからです。
また、最終年度の納付にも注意してください。特許料の納付は特許権設定登録時から必要となりますが、特許権の存続期間の終期は出願日が起算点となるからです。即ち、最終年度は上記の通りの高額を納付したとしても必ず1年未満(ケースによっては1ヶ月未満)で権利消滅となるからです。

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