外国出願:明細書の補正

外国においても日本国と同様に、特許請求の範囲を補正するときは、出願時の開示内容を超えてはいけません。

しかし、”出願時の開示内容”の解釈については国によって異なります。

一般に、日本や米国では、明細書の一般的説明欄に記載されていなくても実施形態や実施例に記載されている構成要素であれば、それを請求項に導入して範囲を限定することは認められます。

一方、欧州特許庁では、実施形態や実施例に記載されている構成要素であっても、それは他の要素との組み合わせとして開示されているのであるから、一部の要素だけを抽出して請求項に導入することは、開示内容を超えているとして認められません。欧州特許条約が、互いに法制の異なる各国の利害を調整して成立したものであることから、どの締約国にも受け入れてもらえるように厳格に解釈されるのです。

従って、国際事務局に提出された一つの明細書が全ての指定国に適用される国際出願においては、将来の審査段階で、どの指定国の審査にも対応できるように、実施形態や実施例に記載した構成要素は、できる限り一般的説明欄にも記載するのが望ましいと言えます。

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