特許:数値限定と進歩性

数値限定発明の進歩性は、発明の効果、つまり当該発明によってもたらされる特有の効果の性質及び程度と深く関係します。

1.効果の性質
数値限定された発明の効果が、刊行物に記載されていない有利な効果であって、刊行物に記載された発明が有する効果と異質なものであるときは「進歩性有り」と判断される可能性が高いです。課題が異なり、有利な効果が異質である場合は、限定された数値に臨界的意義が無くてもかまいません。

2.効果の程度
数値限定された発明の効果が、刊行物に記載された発明が有する効果と同質であるけれど際だって優れている(効果の顕著性)ときも「進歩性有り」と判断される可能性が高いです。この場合は、数値限定に臨界的意義が必要です。また、限定された数値の範囲内の全ての部分で効果の顕著性が認められなければなりません。

ちなみに、数値限定を除いた構成でも進歩性が認められる場合は、上記の異質の効果や臨界的意義を要しません。
逆に、限定された数値範囲が、当業者の通常の試行錯誤の範囲で実験的に最適化または好適化されたものであるときは、進歩性は認められません。

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