中国での商標登録と日本の地名

磁器「有田焼」の名称が中国の一個人によって商標登録されていることが佐賀県の調査で2010年8月30日に判明しました。中国市場進出を狙う地元陶磁器業界にとって大きな障害です。
このような事例は、今回始まったことではなく、2003年に果物について「青森」が中国人によって出願され公告(予備的に登録査定)されていることが判明して以来、日本の都道府県名や政令指定都市名が中国で少なからず商標出願されていることが問題視されています。
中国商標法では「一般に知られた外国地名は、商標とすることができない。」と規定されており、「青森」の場合は、この規定を理由にして青森県、青森市等が中国商標局に異議を申し立てることにより、中国人による「青森」の出願が拒絶されました。
しかし、日本の都道府県名や政令指定都市名の全てが中国で一般に知られているわけではありませんし、市区町村レベルの名称はおいておやであります。
また、仮に「青森」のように中国で一般に知られていたとしても、異議申立手続をしてから異議決定に至るまでには数年という長期間を要する(「青森」は3年)うえに、費用も自ら出願するよりもはるかに高くつくと思われます。
従って、中国市場に進出する可能性があって、地名をブランドに含む業界は、日本での商標登録だけでなく、中国でも商標登録をしておくことをお勧めします。

尚、日本においては「地域+商品・役務の普通名称」は、一定要件の下、地域団体商標として登録を受けることができます。

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