機械・装置の設計図面の保護

例えば絵画であれば、通常それに力強さ、優しさ、恐ろしさなど思想又は感情が表現されていて著作物と認められることが多く、著作権法により模倣盗用を差し止めることができます。

これに対して機械・装置の設計図は、それに基づいて対象物の形状及び構造を客観的且つ一義的に伝えることを目的とするものであることから、思想又は感情を創作的に表現しにくいです。従って、たとえその形状又は構造が新しくても設計図を著作物と認めてもらうことは極めて困難です。仮に著作物と認められたとしても、著作権法で規制するのは、設計図自体のコピーに過ぎません。従って、設計図に基づいて対象物を製造する行為を差し止めることはできません。まして、設計図を参考にして改良品を設計し、製造する行為は、著作権法ではどうしようもありません。

一方、その形状や構造が新しく、その新しい部分によって有利な技術的効果が生じる場合は、特許出願や実用新案登録出願することにより、特許あるいは実用新案登録されて、特許権・実用新案権といった独占排他権を取得することができます。独占排他権ですから、同一形状あるいは同一構造のものを製造販売する行為を差し止めることができるのは勿論、改良品に対しても該当する技術を利用している限り権利侵害を主張することができます。

また、有利な技術的効果が生じなくても外観が新しければ、意匠登録されて、意匠権といった独占排他権を取得することができます。

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