商標を複数人で共同出願する際の留意点

商標登録出願も複数人が共同で行う(申請する)ことができます。個人と個人との共同、個人と法人との共同、法人と法人との共同のいずれも可能です。
以下、出願継続中、商標登録後、出願前の三段階に分けて留意点を説明します。

1.出願継続中の留意点

このように共同で商標登録出願した場合、当然ながら出願により生じた権利は共有となります。そして、出願の取り下げや審判請求などの重要な手続も共同でしなければなりません(準用する特許法第14条)。
また、共同出願人の一人が第三者に名義変更(持分を譲渡)する場合、他の出願人の同意を得る必要があります(同第33条第3項)。

2.商標登録後の留意点

共同出願の状態で登録査定になり、登録料を納付すると、設定登録により発生する商標権も共有となります。
こうなると各共有者は、自己の持分を譲渡する場合だけでなく、第三者に使用権を設定・許諾するにも他の共有者全員の同意を得る必要があります(同第73条)。

登録商標とまさに同一の範囲で各共有者が使用する分には法律上は問題無いですが(同第73条第2項)、共有者の一人が類似の範囲で使用することにより、誤認混同を生じたときは、商標登録全体が取り消されるという不利益を全員が被ることになります(商標法第51条第1項)。

仮に登録商標と同一の範囲で各共有者が使用していたとしても、共有者の一人が低品質のものを市場に供給することにより、他の共有者までも信用を失うことになります。

3.出願前の留意点

従って、共同で出願するには、予め相手方としっかりとした信頼関係を築くだけでなく、使用する商標の態様や品質管理のあり方まで規定した共同出願契約を交わしておくのが望ましいです。

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