商標登録証の意義と再交付・再発行

商標権が設定登録されると、商標権者に商標登録証が交付されます(商標法71条の2)。
かつては、商標権の設定の登録があってもハガキで商標登録通知書が送られてくるだけでした。商標は発明・考案・意匠と異なり、創作物ではなく名誉表示の必要がないという理由に基づくと思われます。

しかし、商標に関する内外の関心の高まり、それに伴う要望に応じるとともに、諸外国の官庁の取り扱いに倣い、1998年(平成10年)の改正により、登録証が交付されることとなりました。

但し、商標登録証を所有していることがその時点で商標権者であることの証拠とはなりません。例えば商標登録証が無いからといって商標権者であることを主張できないわけではないし、逆に商標登録証を有する者を商標権者と信じて取引したとしてもその信じたことについて法律上保護されるわけではありません。

従って、侵害者に対して権利行使する場合には、商標登録原簿の謄本をもって立証する必要があります。

登録商標は自己が使用し続けることにより価値が上がりますが、逆に使用しなかったり、他人の無断使用を放置したりしていると、その価値が低下します。

商標登録証の存在は、商標権をしっかり管理することのモチベーションとなると思います。いつも目に付く所に提示しておかれたら、如何でしょうか?

尚、商標登録証を汚し、損じ、または失ったときは再交付(再発行)を請求することができます(施行規則)。

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