他人に取られるより先に登録

「希望の党」の代表に就任した東京都の小池百合子知事が、「希望の党」の名称について、今年2月に商標登録出願をしていたことがわかった、と本日の読売新聞に掲載されました。
小池知事は、報道陣に「『誰かに取られるよりは』と先に登録した」と説明したそうです。

我が国の商標制度は、互いに同一の商標に関しては一日でも先に出願した方だけが登録されるという先願主義を採用しています(商標法第8条)。しかも出願の時点で現実にその商標の使用どころか、使用の準備すらしていなくても、出願して登録して商標権を取得することが可能です。

従って、小池知事のような個人であっても党の名称について商標登録することができたわけです。そして、登録後に小池知事から希望の党へ当該商標権を移転することも確実にできます。

ちなみに、このような先願主義の下では、自ら使用する予定がないのに商標権を取得し、その商標の使用を欲する他人に当該商標権を売りさばくこともできてしまいます。
しかし、これは商標制度の趣旨に反しますし、他人の商標選択の余地を狭めることとなります。
そこで、そのような弊害を防止するため、継続して3年以上使用していない登録商標は審判請求により取り消されます(商標法第50条)。

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