特許:共有にするときの注意点&利害得失

中小企業や零細企業は、新製品を開発し販売するにしても研究設備、量産設備、評価設備、販売ルートなどの研究開発から量産販売に至る全ての体制を単独で整えることができない場合があります。
このため、複数の中小・零細企業が互いに協力して体制を整えて、商品化にこぎ着けます。そして、通常はその商品を公表する前に、協力し合った会社や個人が共同で特許、実用新案登録、意匠登録などの知的財産権の出願をすることを検討します。知的財産権の出願を共同で行い、権利を共有にすると確かに様々な利点をもたらします。

しかし、知的財産権の出願を安易に共同で行い、権利を共有にすると、想定外の不利益を被ることがあります。

そこで、権利を共有にするときに留意するべき事を以下に整理してみます。

共有にするときのメリット
  1. 費用を折半にして自社の負担を抑えることができる。
  2.  出願後の審査請求、権利化後の年金納付などの期限管理を共有者全員で行い、期限の看過を防げる可能性が高い。
共有にするときのデメリット
  1. 当該新商品の販売に伴う収益を共有者間で公平に分配できるような体制になっているか、そのような契約ができているかしなければ、得られる収益に関して共有者間で不公平となる。例えばアイデアを提供したけれど、量産設備や販売ルートを持たない者は、他の共有者との間でしっかりとした実施料(ロイヤルティ)契約をしておかないと、何の収益を得ることもできない。かといって他人と実施(ライセンス)契約しようとしても他の共有者の同意が無ければ実施許諾できない
  2.  経営が悪化して、自社の権利持分を他社に譲渡しようとしても他の共有者の同意が無ければ譲渡できない。
  3.  共有者の一人が死亡、倒産、会社合併などで替わらざるを得ず、しかも承継人が何かに付けて非協力的な場合がある。

以上の通り、どちらかと言えばデメリットの方が多大です。従って、できることなら、単独で出願し、単独で権利を所有することをお勧めします。

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