他人の商標登録出願が、本来は審査段階で拒絶されるべきであるのに審査の過誤等により商標登録された場合、その登録処分の取り消し又は無効を求める手続として、登録異議の申立て(商標法第43条の2)と、登録無効審判請求(商標法第46条)とがあります。
以下、2つの手続きの相違に重点をおいて説明します。
[異議申立て/無効審判請求できる者]
異議申立ては、何人でもできます。従って、親戚や友人などの替え玉を用いてすることができます。
これに対して無効審判請求は、明文化されていませんが「利益無ければ訴権無し」の民訴法の原則により、利害関係人とされています。
[申立て/審判請求の期間]
異議申立ては、対象となる登録商標が掲載された商標掲載公報の発行の日から2ヶ月以内です。これに対して無効審判請求は、いつでも可能です。
[審理]
異議申立ての場合、審判長が商標登録を取り消し決定の心証を得たときのみ、商標権者等に取消決定の前に取消理由を通知し、意見書を提出する機会を与えます(商標法第43条の12)。
一方、無効審判請求の場合、無効理由の有無に関わらず、審判請求書の副本が商標権者に送達されるとともに、答弁書提出の機会が与えられます(商標法第56条で準用する特許法第134条第1項)。
[審理結果に対する不服の手段]
異議申立ての場合、商標権者等は取消決定に対して不服があるときは東京高等裁判所に提訴することができますが、異議申立人は登録維持の決定に対して不服を申し立てることができません(商標法第43条の3第5項)。従って、とことんまで争いたい異議申立人は、利害関係人であれば同じ理由・証拠で無効審判請求することができます。
無効審判請求の場合、どちらの側からも東京高等裁判所に提訴することができます(商標法第63条)。
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