権利化前のライセンス契約

特許出願後、権利化前にライセンス契約をすれば、特許出願人(ライセンサー)にとっては投資金額を早期に回収することができ、実施権者(ライセンシー)にとっては他人が開発した有用な技術を早くから安心して実施できるというメリットがあります。

もっとも実際に特許になるかならないか不明の技術に対価(ロイヤルティ)を支払うのに難色を示す人もおられるかもしれませんが、この点は対価の額を低く設定しておくことで解決できます。

このような権利化前の実施権を仮専用実施権または仮通常実施権といいます。
いずれも当該特許権が発生したときに自動的にそれぞれ専用実施権または通常実施権となります。

このうち専用実施権は、特許権者との契約で定められた範囲において特許権者と同等の排他的権利を実施権者が有するものです。専用実施権も仮専用実施権も特許庁に実施権の設定の登録をすることにより、効力を生じます(特許法第98条第1項第2号、第34条の4第1項)。

一方、通常実施権は、特許権者との契約で定められた範囲において特許発明を単に実施できる権利を実施権者が有するものです。通常実施権は、登録しなくても効力を生じますが、登録することにより、その後に特許権が移転した場合でも特許権者に対抗できます(特許法第99条、第34条の5)。

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