特許:判定に対する不服申立

 ロンドンオリンピック柔道男子66キロ級の準々決勝を観戦した日本人なら、いや日本人でなくても韓国人以外の常識人なら誰でも2回目の判定を当然と思ったことでしょう。
 海老沼選手が、結果的に取り消されましたが一度は有効と認められる技を出していたのに対して、相手選手は何ら惜しい技を出していないからです。
 世界中が注目する公式の国際試合なのですから、もう少し成熟したというか公正な審判を立てて欲しいものです。

 ところで、特許制度にも「判定」というのがあります。
 特許発明の技術的範囲について特許庁に対して求めることのできるものです(特許法第71条)。
 係争対象物が特許権の範囲に属するかどうか、客観的に判断することは、特許権者にとっても侵害被疑者にとっても困難であるし、かといって、いきなり裁判するのは双方にリスクがあります。
 そこで、いずれか一方からの要請があれば、権利範囲に属するかどうか特許庁(実際には指定された3名の審判官)の判断を求めることができるようにしたのです。
 こちらの判定は、特許庁が行う一種の鑑定であって、法的拘束力を有しません。従って、不服であるとしてその取り消しを求めることもできないと解されています。
 ただし、法的拘束力を有しないので、判定の結論は裁判所を拘束することもなく、当事者の一方が提訴した場合、裁判所が判定と異なる判断を示すことはあります。

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