特許の国際出願の補正と予備審査請求

特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づいて国際出願をしますと、多数国同時出願、各国への翻訳文提出時期の引き延ばし、国際調査報告の受領などに加えて、国際段階での補正や国際予備審査の請求といったメリットを享受することができます。

1.補正
国際調査報告及び見解書を受領後に、請求の範囲について補正をすることができます。
この段階での補正は、各国移行後も引き継がれます。つまり、1通の補正書で多数国同時補正の効果を生じます。

2.国際予備審査
国際予備審査とは、国際出願について国際段階でなされる予備的な審査を言います。
出願人の任意の手続です。国際予備審査を請求しなくても、国際出願日から所定の期間が経過すると自動的に国際予備審査報告を得ることはできます。
しかし、国際予備審査請求すると、請求の範囲だけでなく、明細書や図面の補正も可能です。
更に審査官の見解書に対して答弁書を提出したうえで、特許性に関する審査官の予備審査報告をもらうことができます。

予備審査報告は、各国特許庁の審査官を拘束するものではありません。各国の審査官は自国の審査基準に基づいてそれぞれ独自に審査します。
従って、予備審査報告が出願人に有利な内容であっても厳しい基準の国では特許性無しとして拒絶されることもありますし、逆に不利な内容であっても緩い基準の国では特許査定になることがあります。
予備審査報告は、あくまで参考資料と思っておかれることをお勧めします。

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