現在、弁理士が代理人となって特許、実用新案登録、意匠登録、商標登録の各出願をする場合でも出願時には委任状の提出を省略することが可能です。
出願はインターネットを通じて行うことが可能です。
従って、弁護士さんが頻繁に裁判所に出頭しなければならないのと違って、弁理士は事務所に居ながらにしてほとんどの仕事を処理することができます。
しかし、出願の取り下げ、出願変更などの一定の不利益手続(出願人にとって)を代理人が行う場合には、現在でも委任状の提出が必要でして、特許庁に持参するか郵送しなければなりません。
そこで、1990年(平成2年)に包括委任状という様式が誕生しました。
従って、現在、日本の特許庁に提出可能な委任状の様式には、従来から有る事件毎の個別の委任状と、包括委任状の2種類あります。
包括委任状とは、委任する代理人に包括的に代理権を与える書面です。
これを提出すると特許庁から「包括委任状番号」というその委任者と代理人との関係に固有の番号が通知され、手続きする書面にこの包括委任状番号を記載するだけで委任状を提出したとみなされます。
以上のように、包括委任状は出願人にとっても弁理士にとっても便利な手段です。
尚、ある出願人甲が弁理士Aに包括委任状を与えたからといって、甲は、自己の発明、考案、意匠や商標の全てをAを通じて出願しなければならないというわけではありません。
甲は、弁理士Aの他に弁理士B、弁理士Cなど複数の弁理士に包括委任状を与えることができ、実際に出願するときは発明等の性質や事情によって弁理士を選択することができます。
また、弁理士Aも甲からだけでなく、乙や丙など甲以外の出願人から包括委任状を頂いて出願の依頼を受けることが可能です。
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