商標の審査においては、出願された商標と抵触する他人の登録商標等が先に存在するときは、出願が拒絶されます。
ここで「抵触」とは、出願商標と他人の商標とが同一の場合はもちろん、類似の場合も含みます。類似範囲には、商標自体が類似する場合と、商品・役務が類似する場合と、両方が類似する場合とがあります。
ところで、この類似範囲は、特許請求の範囲のように商標権者が自分で請求して画定するものではなく、審査基準というものを特許庁が作成していて、審査段階ではこれに基づいて判断されます。
このうち、類似商品・役務審査基準というのは、互いに類似すると推定される商品・役務をグループ化し、グループ毎に記号が割り当てられています。
この記号のことを類似群コードと称していまして、例えば商品がおもちゃでしたら、24A01のように数字2桁/アルファベット1文字/数字2桁の合計4文字からなっています。
そして、出願前に先行商標を調査するときは通常、この類似群コードを指定して行います。
尚、類似群コードによる割り当ては、あくまで「推定」ですので、同じ類似群コードに属する商品・役務であっても互いに類似しない関係のものや、逆に異なる類似群コードに属する商品・役務であっても互いに類似する関係のものがあります。
従って、現実には取引の実情、商品相互の関連性などを考慮して、具体的には原材料、用途、取り扱い業者、生産・流通経路、需要者、取引の競合性などに基づいて慎重に類否が判断されます。
例えば、「編物針」と「編み棒」とは、類似群コードが異なるにも係わらず、販売部門、材料、用途、需要者の範囲において同一であるから、互いに類似の商品であると判断されています(無効H09-17812)。また、「パイ(菓子」と「ミートパイ」とは同一とまで言われています(無効2004-49090)。
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