我が国の商標法では、他人の商標登録を取り消し又は無効にする手段として、取消審判請求、登録異議申立及び登録無効審判請求が設けられています。
このうち、取消審判請求は、商標権者等が登録商標を使用していないとか、不正に使用しているとかの理由で請求する手続きでして、審査段階の審査の過誤を理由とするものではありません。
審査段階の審査の過誤、即ち「本来なら商標登録されるべきでないのに審査官が判断を誤ったり見過ごしたりして登録された」ことを理由とする場合は、 登録異議申立(商標法第43条の2)又は登録無効審判請求(商標法第46条)を行います。
[登録無効審判請求がされたとき]
商標権者側としては、審判請求書の副本と審判番号の通知をほぼ同時に受け取ることになります。審判官は、商標権者が答弁書を提出してから審理を開始するからです。
[登録異議申立がされたとき]
商標権者は、先ず異議番号通知のみ受けます。
そして、審判官が異議申立書を読んで、商標登録を取り消す理由があるとの心証を得たときは、商標権者にその理由を通知して意見書提出の機会を与えます。商標権者としては、意見書を提出し、必要により反証を挙げないと商標登録が取り消されます。
逆に商標登録を取り消す理由が無いとの心証を得たときは、商標権者に意見書提出の機会を与えるまでもなく、その段階で登録維持の決定をします。また、異議申立書は提出されたけれど、異議の理由が期限内に提出されないケースも少なからずあり、その場合は異議申立が却下されます。いずれにしても商標権者は戦わずして勝つことになります。
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