シリーズ商標の類似範囲と相乗効果

同じ企業や事業主が使用する複数の商標で、互いに共通点や規則性を有する場合があります。

当職が出願人の代理人として手続きして商標登録された事例では、「かおりひとふり」(商標登録第5627253号及び商標登録第5670716号)、「あじひとふり」(商標登録第5627252号及び商標登録第5670715号)、「だしひとふり」(商標登録第5670714号)というのがあり、「ひとふり」の文字が共通しています。言わば、ひとふりシリーズです。
また、「乾蔵囲い」(商標登録第5703796号)、「巽蔵囲い」(商標登録第715467号)、「京蔵囲い」(商標登録第5703797号)というのもあり、蔵囲いシリーズです。

商標権者は、登録商標を指定商品又は指定役務に使用する権利を専有することができる(商標法第25条)だけでなく、類似範囲における他人の使用を排除する権利をも有します(商標法第37条)。
この類似範囲については商標が類似である場合と指定商品・役務が類似である場合と両方の場合があります。商標の類似は、外観・称呼・観念から総合的に判断されます。

しかし、たとえ前記各登録商標と明らかに類似とまでいかなくても、ひとふりシリーズや蔵囲いシリーズの商取引が拡大するに連れて、「○○ひとふり」あるいは「△蔵囲い」と表示されているだけで「同じ業者の商品ではないか」という先入観を需要者に抱かせることができます。まさに相乗効果です。

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