商標で、機能、原材料、形状を独占!

知的財産権のうち、技術を保護するのが特許権・実用新案権、デザインを保護するのが意匠権、業務上の信用を保護するのが商標権です。
従って、新しい機能や素材を開発したときは、特許出願し、新しい形状を創作したときは意匠登録出願するのが普通です。
いくら新しくても商品の原材料や効能を普通に用いられる方法ですなわちそのまま商標登録出願したところで、識別力が無いとして拒絶されます(商標法第3条第1項第3号)。

しかし、「そのまま」でなければ登録されて、特許権・実用新案権・意匠権よりも威力を発揮することがあります。

例えば、消臭剤に使用されている「消臭力(リキ)」です。単に「消臭力」であれば効能であるとして拒絶理由に該当しますが、「力」にフリガナをふって敢えて「リキ」と読ませているところが「そのまま」でないため、登録されているようです。
そして、これは推測ですがプロレスラーの「長州力」とかけ合わせて記憶に残りやすくしているようです。
お陰で大ヒット商品となっているうえ、他社がもっと消臭力の強い消臭剤を開発したとしても、その効能を需要者に訴えにくくしています。

また、ステープラーに使用されている「Harinacs/ハリナックス」もそうです。単に「針無くす」であれば効能であるとして拒絶されるでしょうが、カタカナにして促音「ッ」を挿入するとともに英文字と併記しているところが「そのまま」でないため、登録されています。
これも大ヒット商品となっており、他社が異なる構造の針無しステープラーを開発したとしても、これに勝るインパクトを与える商標の選択を困難にしています。

特許や実用新案と異なり、商標には設備投資は要りません。知恵を絞って、取引者に魅力的な商標を創案し、市場で優位に立ってください。

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