プログラムの著作物

コンピュータプログラムは、著作物として著作権法の保護対象となり得ます。
誤解してはいけないのは、全てのプログラムが保護対象となるのではなく、プログラムの著作物が保護対象となるのです。即ち、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法第2条第1項第1号)ですから、思想又は感情を創作的に表現したプログラムであることを要します。ここで「創作的」とは、プログラム作成者の何らかの個性が発揮されていれば足りると解されています。

しかし、一般的にはコンピュータを効率的に機能させようとすると、指令の組み合わせの選択が限定され、個性を発揮する選択の幅が成約され、創作性が否定される場合が少なくありません。
また、コンピュータにどのような処理をさせ、どのような指令の方法を採用するかなどの工夫は、アイデアであり、アイデアに独創性があったとしてもプログラムの表現において作成者の個性が発揮されたものとは言えないとする判決もあります(平成22年(ネ)10051)。

一方、アイデアに独創性があるときは、著作物というよりむしろ発明として特許法の保護対象となることがあります。

そして、特許権は、著作権が相対的独占権であるのと異なり、絶対的独占権です。
即ち、著作権の場合、たまたま甲さんが開発したプログラムAと、乙さんが甲さんの後に開発したプログラムBとが類似していても、乙さんが独自に開発したのであれば著作権侵害とはいえません。
これに対して、特許権の場合、甲乙のいずれか一方が先に特許出願し、権利化することにより、他方に対して特許権侵害であるとして権利行使できるのです。先に開発した甲さんがうかうかしていると、後で開発した乙さんが権利化することもあるので、要注意です。

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