特許・実用新案:権利侵害の判断

特許権侵害であるか否かは、対象物(又は対象方法)が特許発明の技術的範囲に属するか否かで決まります。
特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められます(特許法第70条第1項)。この場合、特許請求の範囲に記載された用語の意義は、明細書の記載及び図面を考慮して解釈されます(同第2項)。特許請求の範囲に記載された用語が一義的に明確であるか否かを問わず、明細書及び図面を考慮する必要があります(平成18年(ネ)第10007号知財高裁)。

ここで「考慮して」とは、特許請求の範囲に記載されておらず、明細書や図面にのみ開示されている技術的事項を技術的範囲に含めるという意味ではありません。あくまで”特許請求の範囲に記載された用語”の意義を解釈するために、明細書の記載及び図面が考慮されるのです。従って、明細書及び図面には開示されているけれど、特許請求の範囲に記載されていない部分は、技術的範囲に属しません。「特許請求の範囲に基づいて」にならないからです。
逆に、特許請求の範囲に基づいて定まる技術的範囲に属するようであっても、明細書及び図面に記載されていない部分は、特許無効の理由となります(特許法第123条第1項第4号)。

以上は実用新案も同様です。

Comments are closed