商標権の移転(譲渡)と使用権(使用許諾)契約

 登録商標を他人に合法的に使用させる権利、即ち使用権には専用使用権と通常使用権とがあります。
 このうち専用使用権は、商標権者との契約で定められた範囲において商標権者と同等の排他的権利を使用権者が有するもので、特許庁に使用権の設定の登録をすることにより、効力が生じます(商標法第30条第4項で準用する特許法第98条第1項第2号)。
 一方、通常使用権は、商標権者との契約で定められた範囲において登録商標を単に使用できる権利を使用権者が有するものです。専用使用権と異なり、登録の義務はありません。

 しかし、登録をしておかないと、その商標権を移転等によりその後に取得した者に対しては通常使用権の効力が生じません(商標法第31条第4項)。

 従って、商標権者が高齢者であったり、財務状況が悪くて他社に買収されそうな企業であったりするときは、使用権者側としては通常使用権といえども登録しておくことをお勧めします。

 尚、外国で通常使用権の許諾契約をする場合、国によっては専用使用権も通常使用権も区別無く、登録が義務づけられているところがあります。従って、少なくとも契約の中では「登録の必要が生じたときには登録手続きに協力する」旨の条文を規定することをお勧めします。

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