特許請求の範囲の補正/事例1

拒絶理由通知の引用文献との差異を明確にするために、特許請求の範囲に記載の発明を上位概念から下位概念に限定するときは多くは、明細書に記載されていて引用文献には記載されていない要素を請求項に加入することにより行います。

一方、逆に引用文献に記載されている要素を用いないことを本発明が特徴とする場合もあります。
例えば引用文献の技術が「Aに(B+c)を加える」というように、AにBを適用するときは常にBをcと組み合わせた状態にしておくものとします。

これに対して本発明は「AにBを加える」です。

当然、審査官は「引用文献にcの作用が記載されているから、その作用を期待せずにcを除去することは当業者であれば容易である。」として拒絶理由を発します。

しかし、「Bをcと組み合わせることなくBをAに加える」と補正したところで、「cと組み合わせることなく」という文言が当初の明細書に記載されていないので、補正が認められず、拒絶査定となってしまいます。つまり、上記の補正を認めれば、Bをdと組み合わせたり、eやfなど明細書に記載されていないものと組み合わせることまで認めることとなるからです。

そこで、「AにBを単独で加える」とすれば、補正が通ります。また、単独で加えることがcと組み合わせて加えることと、作用、現象において異なるのであれば、特許査定となるでしょう。

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