特許:意見書(審査官の引例誤認に対して)

特許性を備えた発明であるはずなのに、審査官が拒絶理由を通知する場合があります。

1.審査官が発明を理解していない。
2.審査官が引用文献を精査せず、誤認している。
等の場合です。

以下、2.の場合に対する意見書の例を示します。
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本発明:
エポキシ化大豆油とエポキシ基含有有機ケイ素化合物を、酸触媒の存在下で混合することを特徴とする・・・製造方法。

引用文献:
エポキシ樹脂とエポキシ基含有有機ケイ素化合物と硬化剤とオルガノシラン等を含有するプライマー組成物。エポキシ樹脂として、実施例ではビスフェノールAが用いられているが、一般的説明の欄には大豆油も列挙されている。

拒絶理由の概要:
エポキシ樹脂の硬化において、酸触媒は周知である。よって、本発明と引用文献との間に有意な差異は無い。
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意見書概要:
引用文献は対象がプライマー組成物であるから、硬化剤はポリアミンもしくはポリアミドであることが必須である(参考文献提示)。実施例でもポリアミドしか用いられていない。従って、硬化剤に代えて酸触媒で硬化させると、引用文献の課題を解決しなくなる。
また、大豆油をポリアミドで硬化させようとしても硬化しない(実験例提示)。
してみれば、引用文献には実質的に大豆油が開示されているとは言えない。

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