特許:優先権の基本

優先権とは、先にした出願(出願A)に基づいて優先権主張して優先期間内に新たに出願(出願B)したときに、出願Aに記載された内容については出願Aの出願日を基準として出願Bの特許要件(登録要件)が判断されるという特別の利益を言います。

意匠・商標にも適用されますが、以下、主に特許の優先権を説明します。

出願Aも出願Bも日本国の特許出願であるときは、我が国特許法上、国内優先権と称し、出願Aは1年3月経過後に取り下げとみなされます。この場合の優先期間は1年です。
出願A及びBのいずれかが外国出願であるときは通常、パリ条約に基づく優先権です。この場合の優先期間は特許・実用新案が1年、意匠・商標が6ヶ月です。

特許・実用新案に関して優先権主張して新たに出願Bを行うときに注意しなければならない点は、先の出願Aに記載されていない内容については、出願Bの現実の出願日を基準として特許要件(登録要件)が判断されるということです。

例えば出願Aに係る基本発明の改良発明を基本発明と併せて出願Bに含めたとします。つまり、[特許請求の範囲]
請求項1:基本発明
請求項2:改良発明
という具合です。
この場合、請求項1については出願Aの出願日、請求項2については出願Bの出願日を基準として特許要件が判断されます。

尚、国内優先権は、出願人同一である場合に主張することができます。従って、出願Aを単独で行った場合、出願Bを共同出願として優先権の利益を得るには、出願Aを共同出願に名義変更して出願Bも共同出願にする、又は出願Bを出願Aと同じ出願人による単独で出願し、後日共同出願に名義変更するといった手続が必要です。

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