特許:無効審判と費用

特許無効審判とは、他人の特許を無効にするために請求する準司法的な手続をいい、3人または5人の審判官の合議体によって審理されます。

特許事務所の弁理士を代理人として特許無効審判を請求するときは、「無効審判請求前」、「無効審判請求時」、「審判廷出廷時」及び「審決時」の各段階で費用がかかります。
今回は、無効審判請求前の段階の費用説明をします。
尚、証拠の程度や審理の状況によっては、これらの4段階のうち3段階で足りる場合や、逆に段階が増す場合もありますことをお含み置きください。

[無効審判請求前]
無効審判を請求するには、その特許が無効理由を有していることが前提となります。このため新規性違反や進歩性違反を無効理由として主張するときは、それらの証拠となる先行技術を調査しなければなりません。
先行技術のうち日本の特許公報や日本語の技術文献は、当該特許の出願継続中の審査段階で審査官によってほとんど調査済みですから、調査範囲は雑誌、専門書、海外の特許公報、外国語文献まで拡げる必要があります。
従って、調査会社にもよりますが、最低でも20万円、通常50万円程度はかかると思います。

[無効審判請求時]
先ず印紙代は必須でして、基本49500円に1請求項につき5500円を加えた額となります。尚、特許が複数の請求項を有するときは、請求項毎に審判を請求することができます。
次に弁理士の手数料は特許事務所によって区々ですが、平成18年の弁理士会アンケート結果によれば35万円以上(平成15年では35~39万円)が最も多く33.7%(同40.6%)、次いで30~35万円が20.4%となっています。

[口頭審理陳述要領書を提出し審判廷に出廷したとき]
1997年(平成9年)より特許庁は、審理の迅速化及び審理内容の充実化を図るために特許無効審判では書面審理よりも口頭審理を積極的に活用することを弁理士会に要望しています。
このときの弁理士の手数料は、一律に一定額とする特許事務所の場合、前記平成18年アンケートでは8~10万円が最も多く16.9%となっています。口頭審理陳述要領書を提出しない場合は、口頭審理自体に時間がかかりますので、同程度の費用がかかると思われます。

[審決時]
特許を無効とする旨の審決が出たときは、多くの特許事務所では弁理士の成功報酬を請求します。平成15年の弁理士会アンケート結果によれば35~39万円が最も多く41.9%(平成18年はデータ無し)となっています。

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