特許:実施料・ロイヤルティ・ライセンス料-留意点

世間一般に実施料について口にされるのは、ランニングロイヤルティ(継続実施料)、特に実施料率です。

もし、実施料率を定める実施許諾契約などをするときは、ライセンサー(特許権者等)としては、定められた通りの実施料がライセンシー(実施権者)から支払われているかどうかの監査(チェック)を行うことができるかどうかまで事前に検討しておくべきでしょう。

なぜなら、自ら積極的に該当製品の売り上げや販売量をライセンサーに報告したうえで、実施料を払うライセンシーはあまりいないからです。また、仮に契約で報告義務を課したところで、多くのライセンシーは、できるだけ少ない実施料しか払わなくてもすむように、売上や販売量を少なめに報告するからです。

従って、監査する能力を有しているのであれば、ライセンサーとしては監査の条項を契約に含めておくのが望ましいでしょう。

しかし、ライセンサーが個人あるいは中小企業であるのに対して、ライセンシーが大企業であったり、外国企業であったりすると、ライセンサーにとって監査は極めて困難です。

ライセンシーが大企業であって売上が膨大であれば、帳簿も膨大な量となります。

また、該当製品が完成品ではなく部品である場合、ライセンシーとしては完成品全体で利益が出れば良いわけですから、該当製品の価格を低く設定している可能性もあります。

ライセンシーが外国企業であれば、交通費を無視することが出来ませんし、帳簿も外国語で記載されていることから、当該国における経理に関する知識に加えて、相当に外国語に堪能でなければなりません。

そこで、上記のようなことが懸念される場合には、実施料を一括払いにしてもらうか、契約で毎年あるいは毎月一定の額に定めておかれるとよいと思います。税金対策としては後者がよいでしょう。

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