特許:実施料・ロイヤルティ・ライセンス料

実施料の定義
特許権者は、特許発明について他人に実施権を許諾したときに実施許諾の対価として特許の実施料を実施権者から受けることができます。実用新案権や意匠権の場合も同様です。商標権の場合は使用料と言います。実施料は通常、金銭からなり、英語ではroyalty(ロイヤルティ)またはlicense fee(ライセンス料)と言います。

実施料の種類
実施料には売り上げや生産・販売量に応じて定められるランニングロイヤルティ(継続実施料)と、定額実施料(一時金)と、それらの併用とがあります。

定額実施料は、例えば契約期間中のランニングロイヤルティの総額を予想して決めて一括あるいは数回に分割して支払われるものです。また、ランニングロイヤルティと併用される場合、研究開発費、設備費、特許取得費などの補償を金額の根拠として契約時に支払われることもあります。これは、initial payment(イニシャル・ペイメント)と言われます。

ランニングロイヤルティは、一般に売り上げ等と実施料率との積、すなわち実施料=売り上げ×実施料率として決定されます。

しかし、実施料の額は、当事者同士が契約で定めるだけで公表されないので、相場をつかむのが困難です。

そこで、このような場合、国有特許の実施料率や、特許権侵害に対する損害倍諸請求訴訟などの判決例を参考にすることができます。

ランニングロイヤルティの計算方法の典型
「国有特許権等(経済産業省所管)の実施権設定について」によれば、
実施料率=(基準率)×(利用率)×(実施条件による率)
と記載されています。
ここで基準率は、対象製品が属する業種毎に定められており、医薬品なら約12%、電子部品なら約5%、食料品なら約1%といった具合です。
また、利用率は、利用率=(実施する特許権の数)/(当該製品に含まれる特許権の数)で算定されます。
実施条件による率とは、実施するために過分の費用を要するなどの特段の事情を考慮したものです。

補足
実施料率は、実施許諾する場合だけでなく、発明が出願公開された後、特許される前の補償金(特許法第65条)、権利侵害の場合の損害額の算定(特許法第102条第3項)にも関係してきます。
上記国有特許の算出方法は、通常実施権の場合を想定したものですが、当該実施権者以外の者に実施権が許諾されていない独占的通常実施権や、契約範囲では特許権と同様の強力な専用実施権の実施料率は、一段と高くなります。
実施料については所得税の源泉徴収が必要です(所得税法第161条第7号)。また、消費税も課せられます。

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