商標の国際登録出願(マドプロ出願)の利益・不利益

商標の国際登録出願とは、日本から外国締約国を指定して行う国際出願を言います。

日本人が日本で商標登録出願をし、更に外国、例えばアメリカ合衆国、中国、ドイツでも商標権を取得したいときは、これら3つの国に個別に外国出願する方法(出願手続は合計3つ)と、前記の日本の出願を基礎出願として米、中、独の3カ国を指定して国際登録出願する方法(出願手続は合計1つ)とがあります。
(国際出願あるいは国際登録出願と外国出願とは意味が異なります!)

国際登録出願の利益及び不利益は以下の通りです(個別の外国出願は、その裏返しとなります。)。

[利益]

1.費用が安い
出願手続の1本化により、各国別出願費用の合計よりも出願費用が安価(通常は半額以下)です。
2.早く権利化できる
日本国特許庁(本国官庁)が受理した日が国際登録日となり、各指定国における登録の効果を得ることができます。そして、国際事務局から指定国への指定の通知から1年以内(国によっては1年6月以内)に当該指定国における審査で拒絶されなければ、登録が維持されます。
3.権利管理も一元的になる
更新する場合も国際事務局に対する一回の手続で足り、更新費用も安価です。各国毎の期限管理が不要となります。

[不利益]

国際登録日から5年以内に基礎出願が拒絶、基礎登録が無効・取り消しなどされたときは、国際登録も取り消されます。これをセントラルアタックと言います。

[その他]

国際登録出願といえども、国際事務局から指定国への指定の通知から1年以内(国によっては1年6月以内)に当該指定国において当該出願が登録要件を充足しているか否かの実体審査がなされます。
また、異議申し立て制度を有する国においては、一定期間、他人からの異議申し立てを受ける機会に晒されます。
この審査は、各指定国毎の登録要件及び基準に基づいて行われます。従って、ある指定国では拒絶理由が発見されないけれど、別の指定国では拒絶理由が発見されるということがあります。

拒絶理由は、国際事務局を通じて出願人又はその代理人に送付されます。
そして、拒絶理由に対して反論するときは、原則として、拒絶理由を発した指定国内に宛先を有する代理人を通じて行わなければなりません。
従って、この段階では現地代理人の費用が発生します

 

Comments are closed