商標:使用と出願とどちらを先にするか

結論としては、使用する予定がある商標は、先に出願をしておくのが望ましいです。

日本国の商標法は、登録主義を採用しています。登録主義とは商標登録を商標権成立の要件とする原則であり、使用主義は商標の使用を商標権成立及び存続の要件とする原則です。登録主義下では、商標登録を受けるためには現実に商標が使用されていることを必要としません。

そして、同一・類似の商標に関して複数の出願が競合する場合は、博覧会出品などの特例(商標法第9条)を除き最も早く出願した者に権利を付与する先願主義を採用しています(商標法第8条)。1日でも他人に先を越されると権利化できず、予定していた商標を別の商標に変更しなければならないのです

従って、現時点で使用していなくても近い将来に使用する予定の商標があれば、できる限り早く出願する必要があります。

しかし、何が何でも登録主義を貫くならば、様々な弊害が生じます。例えば、もっぱら他人の商標使用を禁ずるために商標権を取得することもできますし、そうでないにしても自ら使用することなく永続的に商標権を所有し続けることができます。このため、自ら使用しようとして出願した商標が、このような他人の不使用登録商標の存在によって拒絶されることがあります。これでは商標の採択余地が著しく狭められて、産業の発達を阻害することになります。

そこで、あまりに広範囲の商品・役務を指定して権利を取得しようとする出願に対しては、審査段階で使用証明が求められることがあります。また、一定期間使用されていない登録商標に対しては、その登録を取り消す審判を請求することができ(商標法第50条)、これらの措置によって登録主義の弊害を防止しています。

尚、米国は使用主義を採用しており、全ての出願に審査段階で商標使用の証拠又は使用意思の宣言書等の提出が求められます。

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