特許:外国出願をするかしないかの判断時期

日本で特許権を取得した場合、日本で製造・販売または使用する行為は権利範囲内の実施ですので、実施許諾を受けていない他人の実施は原則として特許権侵害となります。

しかし、各国は、自国産業を発展させるため、属地主義の下で各国独自の特許法を制定しています。
属地主義とは、特許権の効力が全てその権利を認めた国の領土内にのみ有効であること、並びに特許権の成立、変動、消滅などが全てその権利を認めた国の法律によることを意味します。
従って、外国での実施には日本の特許権の効力は及びません。

一方、特許出願された発明は、1年半経過すると公開され([特許出願の流れ]参照)、今ではインターネットを介して外国からでも容易に閲覧可能です。
このため、せっかく日本で特許を取得しても外国では模倣・盗用され放題となり、外国出願の重要性は10年以上前に比べると著しく高まっています。

従って、遅くとも日本の出願日から1年半経過前に外国出願することは必然ですが、日本で出願してから1年以内であれば、 優先権主張して外国出願することにより、外国においても日本の出願日を基準として新規性等が判断されます。
よって、日本に出願してから概ね10ヶ月程度経過するまでに、外国出願の要否を検討し、優先期間内に外国出願することをお勧めします。

尚、日本の出願日から1年半経過すると前記の通り出願内容が公開されてしまい、その後に外国出願しても新規性が無いと判断されて拒絶されてしまうことを覚えておいてください。
自分の発明の公開で後悔することになってしまったなんて洒落で済むことではありません。

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