数値を限定しただけで特許になる!

数値限定発明とは、技術内容を特定するための事項を数値範囲により数量的に表現した発明を言います。

例えば「チタン基材をアルカリ水溶液に浸け、続いて40℃以上の水に1時間以上浸けることを特徴とする生体インプラント材料の製造方法。」(特許3877505号)の中で、「40℃以上」と「1時間以上」の部分が数値限定に該当します。つまり、生体インプラント材料の製造分野では「チタン基材をアルカリ水溶液に浸け、続いて水に浸ける」技術は、上記の特許の出願以前に公知であって、それ自体は新規性が無いのです。

しかし、従来は常温の水に浸けていたのに対して、温水に浸けることで顕著な効果が生じたので、上記の数値限定により権利化されたのです。勿論、数値限定の効果を裏付けるための実験データが出願当初より明細書に記載されていることが前提です。
ここで、上記の「顕著な効果」というのが、大切です。何故なら、単に実験的に数値範囲を最適化することは、通常の創作能力の発揮であって、進歩性がないと考えられるからです。
このため、審査では、課題が共通する場合は、効果について、その数値の内外で量的に顕著な差異があることが要求されるのです。

一方、課題が異なり、効果も異質である場合は数値の内外で顕著な差異を要しません。

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