韓国特許出願・補正

韓国の特許制度は、日本と似ているので、日本の特許制度を理解していれば、韓国のものも概ね理解できているといって過言でないと思います。
例えば日本では通常の拒絶理由通知と最後の拒絶理由通知という2種類の拒絶理由通知があります。「最後の拒絶理由通知」とは、通常の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由を通知するものをいいます(条文には明記されていませんが、運用の手引きに明記されています。)
通常の拒絶理由通知に対しては出願当初に記載された範囲で自由に請求の範囲を補正することができますが、最後の拒絶理由通知に対しては請求の範囲の減縮など、限られた補正しかできません。
ここまでは韓国でも同様です。
日本の審査官は、明細書に少々の不備があっても先行技術を調査し、明細書の記載不備と新規性違反の両方の拒絶理由を最初に通知してくれます。従って、初めて提示する先行技術でいきなり最後の拒絶理由通知を出すということはありません。
しかし、韓国の審査官は1回目に「前記」という文言が請求範囲に欠けているだけで記載不備の拒絶理由を通知し、これに対して当方が適正な補正をしたところ、いきなり新規性違反に基づく”最後の”拒絶理由を通知してきましたので、驚きました。
本件の場合、審査官の先行技術に対する認識が誤っていることが明らかでしたので、請求範囲に本発明の作用を記載するとともに、意見書で先行技術との相違を説明することにより、直ぐに特許査定を頂くことができました。
条文は同じ態様であっても運用の仕方が日韓で大きく異なることがあるという勉強になりました。

Comments are closed