商標:称呼同一でも非類似?

近年は対比する二つの商標の称呼が1音しか相違していなくても外観や観念の著しい相違がある場合は非類似とされる傾向にあります。
今回紹介するのは、1音相違どころか、称呼が互いに同一であっても非類似として登録されている例です。

近年、家族や家族のように近い関係の人だけで葬儀が行われることをよく聞きます。
この家族葬に引っ掛けてかどうかは知りませんが、ある葬儀会社の出願に基づく「かぞくそう/花族葬」が平成13年に登録されました。

その後、別の葬儀会社が「家族想」を商標登録出願したところ、審査段階では「かぞくそう/花族葬」と類似であるとして拒絶査定となりましたが、出願人が審判請求し、請求が認められて平成20年に登録されました。

審判官の判断は、「・・称呼を共通するとしても、両商標は外観及び漢字の有する字義の相違等により明らかな差異を有しており、・・・誤認混同を生じさせるおそれがない。」というものです。

商標登録出願に際しては、予め先行商標を調査し、先行商標とは外観、称呼、観念の全てにおいて異なる商標を選択したうえで出願するのがリスクが少なくて望ましいことは詳述するまでもありません。

しかし、既に出願商標を使用しているにも係わらず、調査漏れや認識の違いなどにより、出願後の審査段階で先行商標と類似するとして拒絶された場合、外観・観念が相違するのなら審判請求することを検討してください。

Comments are closed