特許:明細書の不明確な記載の例

特許出願の願書に添付する明細書の大部分を占める”発明の詳細な説明”は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載しなければなりません(特許法第36条第4項第1号)。

ところが日本語では文法上は正しくても一義的で無い場合が多々あることから、解釈で争われることがしばしばあります。

例えば、「何々し、何々する」という文章がよくみられます。これは「何々し」と「何々する」とが時間的な順序を表すように記載されているのか、それとも原因と結果とを表すように記載されているのか、「し」の前後関係が不明確です。特許請求の範囲の中に「何々し、何々する」があると、解釈次第で権利侵害になったり、ならなかったりします。

明細書全体を読んでかろうじて理解できることもありますが、無用な争いを避けるために、時間的順序を表すときは「何々した後、何々する」、原因と結果を表すときは「何々する事により、何々する」と記載するのが望ましいでしょう

なお、「Aし、Bする。」という場合に、AとBとが時間的に前後してもよいし、同時進行であってもよいときは、特許請求の範囲において「Aする工程と、Bする工程と・・・を備える。」と記載すれば、一般的にどちらの意味も含まれます。

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